育児・介護休業法2025年改正|中小企業経営者が知っておくべきポイントと対応策
1. はじめに
2025年の育児・介護休業法の改正は企業規模に関係なく適用され、従業員の働きやすさだけでなく、優秀な人材の採用、定着にも影響するものです。
この記事では、2025年4月・10月施行の改正ポイントと実務対応をわかりやすく解説します。
2. 改正の背景と目的
改正の背景には、以下の課題があります。
- 男性の育児休業取得率の低さ(女性85.1%、男性13.97%)
- 小学校入学後の子育てや障害児支援への制度不足
- 介護離職の増加(制度はあっても利用しづらい環境)
- 柔軟な働き方への対応不足
厚生労働省は、仕事と家庭の両立支援を強化し、特に男性の育児参加促進や介護離職防止を目的に改正を進めています。
3. 主な改正ポイント(2025年4月施行)
- 子の看護休暇の拡大
- 対象:小学校就学前 → 小学校3年生修了まで
- 取得理由に学級閉鎖・入園式・卒園式などを追加
- 残業免除の対象拡大
- 対象:3歳未満 → 小学校就学前まで
- テレワークの導入促進
- 3歳未満の子を育てる労働者にテレワーク選択権を努力義務化
- 短時間勤務制度の代替措置としてテレワークを追加
- 育児休業取得状況の公表義務拡大
- 常時雇用300人超の企業にも義務化
- 介護休暇の取得要件緩和
- 継続雇用6か月未満の除外規定を廃止
- 介護離職防止措置の義務化
- 制度研修、相談窓口設置、利用事例の提供、方針周知のいずれかを必須化
4. 主な改正ポイント(2025年10月施行)
- 柔軟な働き方を実現するための措置義務
3歳~小学校就学前の子を育てる労働者に対し、以下の5つから2つ以上を導入し、労働者はその中から1つを選択可能。- 始業時刻等の変更(フレックス・時差出勤)
- テレワーク(月10日以上、時間単位取得可)
- 保育施設の設置・費用補助
- 養育両立支援休暇(年10日以上、時間単位取得可)
- 短時間勤務制度(1日6時間など)
- 仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮
- 対象時期:妊娠・出産の申出時、子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間
- 内容:勤務時間帯、勤務地、業務量、両立支援制度利用期間などを聴取し、可能な範囲で配慮
5. 中小企業が今から準備すべき実務対応
- 就業規則・労使協定の改定
- 対象者要件や休暇日数など、改正内容を反映
- 労働基準監督署への届出を忘れずに
- 制度周知と管理職研修
- 管理職・現場リーダーに法改正の内容と対応方法を教育
- 制度利用を妨げる発言・態度を禁止する意識づけ
- 制度利用を支える体制づくり
- 業務分担・代替要員の確保
- 面談記録や取得日数管理の徹底
- 助成金の活用
- 「両立支援等助成金(育児休業等支援コース)」などを検討し、費用負担を軽減
6. まとめ
今回の育児・介護休業法改正は、制度の形だけ整える時代から、実際に使える職場環境を整える時代への転換です。
特に中小企業では、人手不足の中での対応が課題ですが、法改正をチャンスととらえ、柔軟な働き方の導入や助成金活用によって、優秀な人材の確保・定着につなげていきましょう。